③女医が鬱になる前に選べた選択肢|「休職」すら見えなくなる前に整理しておく

女医 × 選択肢整理(夫の視点)

女医が鬱になる前に選べた選択肢|「休職」すら見えなくなる前に整理しておく

①②で「限界サイン」と「放置した結果」を書きました。
この記事では、当時どんな選択肢があり得たのかを、感情抜きで整理します。
成功談にはしません。しんどかった現実を、そのまま並べます。

先に、いちばん重要なことを書きます。
限界が近づくと、選択肢は減るのではありません。
消えます。

「続けるしかない」
「もう消えていなくなる(死ぬ)しかない」

ここまで追い込まれると、
休職ですら、選択肢として認識できなくなります。

※これは意志の弱さの話ではありません。
睡眠不足と極度のストレスで、思考が極端化している状態、という意味です。

なぜ「休職」すら見えなくなるのか

当時の彼女の頭の中は、ほぼこの一文で占められていました。

「私がやらないと、患者が死ぬ」

この思考に支配されると、
家族のこと、将来のこと、自分の体のことは、
考える対象から消えます。

  • 休む=患者を見捨てる
  • 離れる=無責任
  • 自分が壊れる未来は、想像できない

結果として残るのは、
「続ける」か「消えていなくなる(死ぬ)」か、という二択です。

「体調が悪い日は当直を代わる」という発想がない

外からは、こう言われがちです。

「体調が悪いなら、当直を代わってもらえばいいのに」

でも、限界に近い状態では、
「代わってもらう」という発想そのものが存在しません。

彼女は、体調が悪い日に、
当直の代わりを探そうとしたことは一度もありません。
そもそも「代わって」と言い出す発想がない。

  • 自分が耐える前提で思考が固定されている
  • 「頼む」という行為が想像できない
  • それを考える余力が残っていない

これは根性論ではなく、
思考が極端に狭くなっている状態です。

それでも「選択肢」を整理しておく意味

ここまで読んで、「じゃあ何を整理すればいいの?」と思うかもしれません。
でも、整理は追い込まれた後にやるものではなく、追い込まれる前にやるものです。

限界が近づくと、選択肢は自動的に消える。
だから、まだ読めるうちに、まだ比較できるうちに、言葉として置いておきます。

当時、現実的にあり得た選択肢(答えは出さない)

ここからは、選択肢を「並べる」だけです。
どれが正解、と決めません。

① 休職(制度としての退避)

休職は「逃げ」ではなく、選べる状態に戻すための退避です。
ただ、限界に近づくと、休職という言葉すら頭から消えます。

② 業務負担の調整(当直・担当の調整)

理論上は可能でも、限界に近い人ほど実行が難しい。
「体調悪い日は代わってもらえないか」と考える余力が残りません。

③ 外の情報を集める(転職する/しないは別)

いきなり辞めなくていい。決めなくていい。
でも、外の働き方を知るだけで、二択から抜け出しやすくなります。

④ 「頑張れる理由」に賭ける(※危険)

当時、彼女が自分を支えるために口にしていた言葉があります。

「生まれてくる赤ちゃんの顔を見れれば、いくらでも頑張れる」

この言葉自体を否定したいわけではありません。
ただ外から見ると、これは「回復の見通し」ではなく、耐えるための呪文になっていました。

もし「休職」という言葉が浮かぶなら

正直に言うと、
「休職」という言葉が頭に浮かぶ時点で、
それはかなり手前の段階です。

多くの場合、限界が近づくと、

  • 制度を調べる
  • 誰かに相談する
  • 比較する

こうした行動自体が、できなくなります。
だから、休職は「追い込まれた末の最後の選択肢」ではなく、
まだ選択肢が残っているサインでもあります。

この段階で一番大事だったこと

正解を選ぶことではありません。
「選べる状態」に戻すことです。

  • 眠れるか
  • 食べられているか(作業になっていないか)
  • 二択(続ける/死ぬ)まで追い込まれていないか

ここが戻らない限り、どんな選択肢も公平に比較できません。

次の話へ

次の記事では、実際に環境を変えたあと、どうなったかを書きます。
成功談にはしません。良かったことも、しんどさも、そのまま出します。

次に読む

④女医が限界を超えた日|玄関で動けなくなり休職するまでの実体験

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