女医が鬱になる前に選べた選択肢|「休職」すら見えなくなる前に整理しておく
①②で「限界サイン」と「放置した結果」を書きました。
この記事では、当時どんな選択肢があり得たのかを、感情抜きで整理します。
成功談にはしません。しんどかった現実を、そのまま並べます。
先に、いちばん重要なことを書きます。
限界が近づくと、選択肢は減るのではありません。
消えます。
「続けるしかない」
「もう消えていなくなる(死ぬ)しかない」
ここまで追い込まれると、
休職ですら、選択肢として認識できなくなります。
※これは意志の弱さの話ではありません。
睡眠不足と極度のストレスで、思考が極端化している状態、という意味です。
なぜ「休職」すら見えなくなるのか
当時の彼女の頭の中は、ほぼこの一文で占められていました。
「私がやらないと、患者が死ぬ」
この思考に支配されると、
家族のこと、将来のこと、自分の体のことは、
考える対象から消えます。
- 休む=患者を見捨てる
- 離れる=無責任
- 自分が壊れる未来は、想像できない
結果として残るのは、
「続ける」か「消えていなくなる(死ぬ)」か、という二択です。
「体調が悪い日は当直を代わる」という発想がない
外からは、こう言われがちです。
「体調が悪いなら、当直を代わってもらえばいいのに」
でも、限界に近い状態では、
「代わってもらう」という発想そのものが存在しません。
彼女は、体調が悪い日に、
当直の代わりを探そうとしたことは一度もありません。
そもそも「代わって」と言い出す発想がない。
- 自分が耐える前提で思考が固定されている
- 「頼む」という行為が想像できない
- それを考える余力が残っていない
これは根性論ではなく、
思考が極端に狭くなっている状態です。
それでも「選択肢」を整理しておく意味
ここまで読んで、「じゃあ何を整理すればいいの?」と思うかもしれません。
でも、整理は追い込まれた後にやるものではなく、追い込まれる前にやるものです。
限界が近づくと、選択肢は自動的に消える。
だから、まだ読めるうちに、まだ比較できるうちに、言葉として置いておきます。
当時、現実的にあり得た選択肢(答えは出さない)
ここからは、選択肢を「並べる」だけです。
どれが正解、と決めません。
① 休職(制度としての退避)
休職は「逃げ」ではなく、選べる状態に戻すための退避です。
ただ、限界に近づくと、休職という言葉すら頭から消えます。
② 業務負担の調整(当直・担当の調整)
理論上は可能でも、限界に近い人ほど実行が難しい。
「体調悪い日は代わってもらえないか」と考える余力が残りません。
③ 外の情報を集める(転職する/しないは別)
いきなり辞めなくていい。決めなくていい。
でも、外の働き方を知るだけで、二択から抜け出しやすくなります。
④ 「頑張れる理由」に賭ける(※危険)
当時、彼女が自分を支えるために口にしていた言葉があります。
「生まれてくる赤ちゃんの顔を見れれば、いくらでも頑張れる」
この言葉自体を否定したいわけではありません。
ただ外から見ると、これは「回復の見通し」ではなく、耐えるための呪文になっていました。
もし「休職」という言葉が浮かぶなら
正直に言うと、
「休職」という言葉が頭に浮かぶ時点で、
それはかなり手前の段階です。
多くの場合、限界が近づくと、
- 制度を調べる
- 誰かに相談する
- 比較する
こうした行動自体が、できなくなります。
だから、休職は「追い込まれた末の最後の選択肢」ではなく、
まだ選択肢が残っているサインでもあります。
この段階で一番大事だったこと
正解を選ぶことではありません。
「選べる状態」に戻すことです。
- 眠れるか
- 食べられているか(作業になっていないか)
- 二択(続ける/死ぬ)まで追い込まれていないか
ここが戻らない限り、どんな選択肢も公平に比較できません。
次の話へ
次の記事では、実際に環境を変えたあと、どうなったかを書きます。
成功談にはしません。良かったことも、しんどさも、そのまま出します。
次に読む
④女医が限界を超えた日|玄関で動けなくなり休職するまでの実体験▶ この連載の一覧はこちら: 女医が壊れる前に逃げる話